マインドフルなダンスを踊ろう
ダンスは大きく分けて2種類あると思います。
一つは伝統的なアートとしてのダンス。
バレエのような研ぎ澄まされた芸術表現であったり、もっと広く言えば他人に見せるためにテクニックを磨き、できばえを競うようなものです。
もう一つは、自分のために踊るダンスです。
こちらのほうがより原始的というか、自分たちの気分を高揚させたり、溜め込んでいるエネルギーを解放する目的で古代から踊られてきたようなものですね。
後者は自分のために踊るものなので、型にはまる必要もなければ、洗練されている必要もありません。
前者が自意識によってコントロールされた美しさなら、後者は自意識を手放したありのままの美しさ、なのかな。
そして実は私自身は、自分の踊っているダンスを芸術だとは捉えていません。
お客様を楽しませるため、ショーで踊るのももちろん楽しいのですが、少なくとも私にとってのベリーダンスはやっぱり後者なのです。
「自分のためのダンス」というのが最優先なので、間違えちゃいけない!とか、ちゃんとやらなきゃ!とか、褒めてもらいたい!とか…
そうゆうのとは無縁のところに踊るモチベーションを持っています。
もちろん素敵に踊れた方がいいし、褒めていただけば嬉しいけれど、それは『自分』を無視してまで手に入れるべきものではないんですね。
コロナの影響でもう10ヶ月もステージで踊らずにきて、だけど家で踊りまくってるだけで全然満たされていて…
結局自分はそっちの(華やかな)世界の住民ではないんだなぁとあらためて思ったのでした。
でもじゃあなんでレッスンでは『美しさ』を大事にしてるのかといえば、私のお伝えしている美しさとは、『身体の構造的に理にかなった動きをしているときの美しさ』だからです。
身体は繋がっているのにロボットのような動かし方をしていたら美しくないですし、身体の構造的にも不自然な動きは怪我のもと。
正しい姿勢や動かし方についてしつこく言い続けているのはこういった理由からです。
そして基本が身についたあとは、『自意識解放』としてのダンス表現を重要視してレッスンを進めています。
多くの人は『上達』というと難しいテクニックの習得に走りがちなのですが、機械運動のように動かせるけど個性のないダンスを踊れるようになったところでたぶんあまり楽しくはないと思うから。
それよりも、簡単そうな動き(本当は難しいんですよ!)しかしていないのに息遣いまできこえるような踊りに、私自身ひかれるから。
『テクニックの上達』にばかり意識がいってしまうのって、なんだか「あの大学に入ること」を目標にしている人みたいで、本来の目的は何?っていう部分を見失ってはいませか?
芸術、芸能としてのプロのベリーダンサーになりたい!という人はもちろんテクニックを磨くことは必須ですが、「ダンスを踊れるようになりたい!」という人の場合には、難しいテクニックを詰め込んで頭でっかちになってしまうより、『今ここ』の感覚や、自分の内側と丁寧に向き合うマインドフルな姿勢でレッスンを受けていただけたら嬉しいです。
外向きにばかり自意識をはりめぐらせているときには気づかなかった、自分の心と身体の声の多さに、きっと驚かれることと思います。
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